インタビュー



ー さっしーさんが温泉道を始めようと思ったきっかけを教えてください。

最初は温泉道の説明をチラシで見てね。88箇所の温泉を周ると名人になれるというのを読んだ時に「こんなもんバカバカしくてやってられない」と思ったのがホントのところ。
だけど温泉は好きだったから、いつも1箇所に入ってたのを全部違う場所に入って見たらどうなるんだろう?っていう興味本位で1回周って見たの。
7段になると無料券がもらえるというのを聞いて、その無料券をうまく使えば残りはそれを使えばいいなと。それで、1回目は全部周るのに大体3ヶ月かかることがわかった。
終わる頃にはこれはもしかしたら面白いかもしれないと思うようになったね。

ー 1巡では満足しなかったですか?

1年で4回は周れるなと思った時に、待てよと。
朝風呂と夕方に入れば3ヶ月が1月半かと。それで周って見たの。そうすると次は朝・昼・晩で入れば1冊1ヶ月かからないぞ、と思っているうちに1日10箇所入ればまだまだ短縮出来るなという感じになってきた。
最短コースを探して3日で終わったこともあったね。フロマラソンの時に最短で周って1日半だったよ。
元々スパポートじゃなくてパスポートで同じようなことをやっていたから(さっしーさんは20年海外を飛び回っていた)それに比べたら簡単でしょ(笑)

ー いや、でも1日半で88湯って凄いですよ。つまり、効率を求めていく過程でスタンプを集めるのが楽しくなってきたと。

ペースを速めて行くと、お金がかかってきてね(笑)。少し困ったなと思ってたんだけど、拍車がかかったのは11巡目。
永世名人になった時に数字が出るんだよ。あなたは何番目ですよってね。自分が11巡した時は24番目だったかな。もうすでに温泉道が始まって10年以上経っていたのに24人しかいないのかと。それでその先が見たくなっちゃったんだよね。
一番精力的だった時は別府駅から歩いて明礬まで行って湯の里や鶴寿泉に入って、鉄輪まで降りて一通り全部入って、亀川まで降りてまた一通り全部入って、あの頃は毎日が風呂に入る為の1日だったね。

ー ほぼ別府一周ですね(笑)。まさか全部歩きですか?

そうだね。基本的にはほぼ歩いて周ってたね。

ー す、凄いですね。(別府一周遊歩道ルートはおよそ26km)そうやってウォーキングも兼ねてひたすら温泉を巡っていったわけですね。

11巡ごとに称号が変わって22巡目で名誉名人になるんだけど、その時にアレ?っと思ったんだよ。11巡した時の24番が5番になってたんだよ。今から17〜18年前の数字だけどね。
真剣に88巡を目指している人が見えてきて、44巡目で3人に絞られて。44巡目の初代は自分じゃない他の人がなったんだけど、当時かなりもてはやされたんだよ(笑)
それで完全に火がついて、そこからは完全に3人の戦いになってきて、だたそのうちの一人は姿を現さないんだよ(笑)
見えない敵との戦いだったけど、周りのみんなも応援してくれてね。それで55巡、66巡、77巡目の時には1番になったんだよね。



ー 周りの人達の助けも大きかったですか?

1日何箇所も周るなら歩きじゃ大変だろうって言ってくれてね。「さっしー今どこにいるの?」って連絡してくれて車に乗せてくれたりね。鉄輪から亀川まで送ってくれたりね。
そうこうしてるうちにあと3巡で終わるってとこまで来て、競ってたうちの一人がもうすぐ88巡終わるって噂も流れたりして、最後はプレッシャーも凄かったね。

ー たしかにそこまで頑張って来たら1番取りたいですよね。

最後はとにかく毎日必死に周って、結果的には2番手は半年くらい後に泉聖になったんだけど、自分は最終的に5年半で泉聖になったことになるね。

ー 5年半で最低でも7744回温泉に入ったということですね。

最後は本当に大量生産(笑)
表も作ってロスがないように周ってたし、最後は10冊くらい同時に持って周ってたから同じところを押し間違えたりしたこともあったね。
ここまで来たら勝つしかないって気持ちだったね。もちろん勝ち負けじゃないんだけど、他の人達も同じ気持ちだったんじゃないかな。

ー 当時はまだ誰も泉聖になっていなかったっていうのも大きいですよね。

これは確かではないんだけど、おそらく泉聖になったであろう人とたまに温泉で会うんだけどね。「俺はもう引退するから」って言っててね。思わず「何を?」って聞いちゃったよ(笑)
引退も現役もないでしょう、温泉巡りに。でも、競い合うのはもう辞めたってね。競うも何も風呂には毎日入るだろうって。
そしたら「俺、温泉付きのマンションを買ったんだよ」だってさ。それはそれで幸せだよな。



ー さっしーさんは今もまだ現役なんですか?(笑)

今は104巡目だね。今は1日最低1箇所は周ってるんだけど、1冊のスパポートで88日続いたことがないんだよね。どうしても被っちゃう。今はそれが目標かな。

ー 1巡目は1冊のスパポートで周るわけですから、一冊で88日続けるのもやろうと思えば出来ますよね。
最初は簡単に出来たことが逆に難しくなるって面白いですね。


何故まだ現役で続けてるかの答えにもなるんだけど、今は色んな情報が携帯でも見れる時代でしょ。この前も7775代名人(偶然にも撮影した加藤さんがアップした記事)になりましたって記事がfacebookに上がっててね。今申請に行けば7777代取れるなと思って、観光協会に行ったわけ。
そしたらその後ちょうど1人来たみたいで、職員さんが「やっぱりさっしーさん、持ってますねー」って言うから「なんで?」ってしらばっくれてね。
「ちょうど7777なんですよ!」「はぁー、そうなんですかー」ってね(笑)
知ってて行ってるわけ、こっちは。

ー それ、ネタばらしして大丈夫ですか?(笑)

ズルしてるわけじゃないしね。7775代を取ったのもたまたま見て行ったわけだし。
自分が取りたい番号が取れるというのが何巡もしてる人の特典だろうね。
スタンプを押し終わって申請にだけ出せばいいスパポートが常に10冊くらいあるから。7777とか8888とか、ゾロ目は狙いたくなるでしょ。

ー たしかに。キリがいい数字は縁起も良いですしね。
これだけ温泉に入っていたらそういう面白い話も沢山あると思うんですが、1番印象深かったエピソードを教えてください。


東京から来た感じの5人の青年が竹瓦温泉に入りに来てた時にね、タオル買ってシャンプー買って、服脱いで温泉に入るんだけど、辺りを見渡して「あれ、俺シャンプー買ったのに、ここシャンプー出来ねえよ」って言うわけ。

ー シャワーがないってことですね(笑)

そう。「鏡はここにあるのになー」「シャンプー出来ないな」ってみんな言ってるから、可愛そうになって、「湯船のお湯使えば」って教えたわけ。そしたら鏡の所までお湯の入った洗面器を持っていって、一回頭を流したらまた湯船まで行ってお湯を汲んで、また鏡の前に戻るの繰り返し。あまりに面白かったから「君達5人いるんだから、バケツリレーしたらどう」って冗談言ったけど、何往復もしてたね(笑)

ー 別府の温泉は湯船の横に座って、直接湯船からお湯を汲んで全部済ませますからね。シャワーに慣れてると分からないですよね(笑)

例えば、普通の家の風呂場は寒いでしょ。別府は温泉に行けば冬場でも暖かいし、東京の人なんかが言う「やっぱり温泉はいいなー」「温泉に行きたいなー」が日常の中にあるし、普通じゃないことをみんな普通にやってるのが面白いよね。普通は風呂場にシャワーあるしさ。別府の面白いとこだよな。



ありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。

沢山いい温泉地はあるんだけど、100円で入れる温泉がこれだけある街は世界に別府だけ。イベントがある度にタダで入れるしさ。
温泉巡りしてみて思うのは、車を止められる温泉も多いから便利なんだけど、歩いて周るのがオススメ。歩かなきゃ分からない景色が別府には沢山あるからさ。
まぁ結論は馬鹿にしてたものにズッポリハマってしまったということだね。そういう沼みたいな魅力が別府にはあると思うよ。

フォトギャラリー




モデルプロフィール

名前 Name 年齢 職業 別府八湯温泉道名人
指原勇 Isamu Sashihara 70歳 定年退職して温泉巡り 準備中

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写真撮影・インタビュー:東京神父
撮影協力:地獄原温泉、別府市、別府市温泉課、お好み焼き桃太郎、本田さん。

撮影のメイキングはこちらから。
泉聖一押しの温泉は?

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