インタビュー

別府本町



ー アユ君はなぜ別府に来ることになったのかな?

僕の姉が日本にいて、今は共同通信社で働いています。姉が家で漢字の勉強をしている所を見たりしていたので、日本に少し興味はありました。
僕が日本に初めて来たのは2015年、高校生の時です。その時は観光で別府に来ました。まだ日本語も全く喋れませんでした。外国人が日本人と一緒に働いている別府の街を見て本当に驚きました。インドではあまり見ない光景だったので。外国人でもこんなに活躍出来る街があるんだと思って、別府にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)に行こうと決めました。それで、2017年にAPUの国際経営学部に入学しました。

ー 初めて別府に来た時はどんな印象だった?

別府にインド人の先輩がいて、その先輩と一緒に初めて温泉に行ったんですが、裸になって一緒にお風呂に入ることにとても驚きました。でも、入った時本当に気持ちよくて、インドでは絶対に出来ない経験でした。インドとは全然文化が違うんだなと。街の人やタクシーの運転手さんや、優しい人が多くて日本に来て勉強したいなと思いました。

南的ヶ浜温泉に向かう途中



ー APUに来てから日本語を勉強し始めたの?

そうですね。

ー 4年でこれだけ喋れるって凄いね。

ありがとうございます。日本語は授業よりもアルバイトしながら覚えました。今別府の飲食店(北海道ダイニングHAL)で3年バイトしているんですが、最初は日本語が喋れない僕に店長が「タイミングを見て、お客さんと積極的にコミュニケーションをとりなさい」と言ってくれたり、お客さんも辞書を使っていいよと言ってくれたり、新しいことを毎日学んでいます。インドはヒンディー語が公用語で次が英語ですけど、小さいのも入れると780言語くらいあります。僕はヒンディー語と英語とパンジャーブ語、ウルドゥー語、日本語が喋れますが、日本語はとても難しいですね。

バイト先の「北海道ダイニングHAL」にて



ー 凄いね!パンジャーブ語なんて初めて聞いた(笑)APUで実際に勉強してみてどう?

挑戦出来る環境なのでとても良いですね。2年生の時にスペインに半年留学して、ビデオグラフィーやビジネスの勉強をしました。スペインは日本よりもインドに文化が近かったですね。日本は良くも悪くも時間に正確だし、細かいですよね(笑)

端正な顔だちのアユ君


ー 別府でアルバイトしてみて地元の人と接する機会も多いと思うけど、別府の人の印象はどう?

別府の人は普通の日本人よりも海外の人に慣れてる印象がありますね。本当にあったかい人達が多いです。僕は別府は日本じゃないと思っています(笑)1年生の時は別府=日本でしたが、そうじゃないことが4年いて分かりましたね。

ー そうなんだよね。別府は別府国なんだよね。やっぱり海外の人も同じように感じるんだね。普段は温泉に入ったりする?

よく行きますね。友達と一緒に鶴の湯に行ったりもします。

お気に入りの温泉は「鶴の湯」



ー 温泉もそうだけど、日本の文化で驚いたこととかある?

一番驚いたのは「歩きながらお酒を飲んでもいい」ことですかね。インドは店や家でしかお酒は飲めないです。(インドでは酒屋等で購入したアルコール類は公共機関に持ち込むことができず、公道ではラベルを見せることも禁止されている)場所によって違いますけど、25歳からしか飲めない地域もあります。

南的ヶ浜温泉の脱衣所



ー そうなんだね。それも初めて知ったな。

日本では電車などでは携帯の使用はマナー違反とされてますけど、インドでは普通に携帯で喋ってますね。

温泉に入ると自然と笑顔になる


ー 文化の違いって面白いよね。日本の中でも地域によって違いがあるもんね。

僕はインターンシップで東京にも行ったりしてるんですけど、東京にいると別府が恋しくなりますね。温泉の影響なのか人なのかは分かりませんが、時間がゆったり流れている印象です。別府のチルアウトは別府にしかないです。

バイト先の店長にはいつも怒られているらしい



ー 別府のチルアウト、いい響きだね。自然のエネルギーみたいなものが作用している気は僕もしてて、その温泉地で育ったDNAを持っている人達がこの街を作っているわけだから、温泉と人がそのチルアウトを作り出しているのかもしれないよね。

そこに色んな国の人が混じってるのがカオスですよね。自分で探して、文化に入り込んでいかないと「別府は何もない街」になってしまうんですよね。英語を教えるバイトだけやってると視野が狭くなってしまうと僕は思います。

気持ち良さそう



ー 別府に限らずだけど、自分で掘り起こしていく作業は本当に大事なことだよね。せっかく海外から来たなら、文化や歴史や自然や暮らしの中にある「刺激」を自分から求めていかないとね。

一番大事なことだと思います。別府には何かがありますよね。X-factor(未知の要素)というか。それぞれのX-factorを見つけられるのが別府の魅力かもしれません。

ー 例えばアユ君にとってのX-factorというかスペシャルなことってどんなことだと思う?

さっきのチルアウトの話にも繋がりますが、例えば友人と一緒に駅前にある手湯の前でお酒を飲んでリラックスしてる時間とか、そういう何気ない時間こそが特別なことなんだと思わせてくれることも一つのX-factorだと思います。

人にも温泉にもギャップが必要



ー それ凄く分かるな。温泉地独特の時間の流れの中にいると「当たり前こそが特別」って気持ちになるよね。
今回モデルに応募してくれたのは新しいことに挑戦してみたいって想いがあったのかな?


理由はいくつかあります。写真も好きだし、神父さんの企画も面白いと思ったし、もうすぐ別府を離れるのでその記念という意味もあります。でも1番は「別府の為に何かしたい」という想いからですね。今後はインドと別府、インドと日本を繋げることをやりたいと思っています。APUの出口学長がおっしゃっていたのは「美味しい料理と美味しくない料理どっちを食べますか?」と言われた時に美味しい料理だけを食べる選択をしないこと。美味しくない料理も食べるからこそ、美味しい料理も分かる。つまり、どんなことでもイエスマンになって体験してみることが大事。僕も本当にそう思います。なんでもやってみようと動けば実現の可能性が生まれます。動かなければ頭の中だけで終わりです。

ー 今回の撮影もアユ君が応募してくれたタイミングでアユ君に会わなければ実現してなかったかもしれないしね。(別府海地獄で行われたTHE HELLというナイトイベントでたまたまアユ君に会い、駅まで送ったことがきっかけで撮影が実現した)

動いたからこそ生まれた縁ですよね。前向きに目的に動いていると引き寄せますよね。

インドでは今ラップが流行っているそうだ


見た目の印象よりも物腰が柔らかいアユ君



ー ありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージを。

インドは特に進路を家族が決めたり、自分がやりたいことが出来ない環境にいる人が多いので、僕もこれからもっと挑戦したいし、みんなにももっと挑戦して欲しいと思っています。
別府はなんでも出来る街なので住んでる人にも観光で来る人にもどんどん挑戦して欲しいです。ただ温泉に入るだけじゃなくてバーやバルに行ったり、地元の人と交流して欲しいですね。縁を引き寄せるのは自分次第だと思います。



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