インタビュー

若草温泉近くの若草港にて



ー まずは簡単な生い立ちを教えてください。

田多:大分県に生まれて、2才で北九州、幼稚園は広島、小1から小4まで千葉、小5から中1まで名古屋、そこから大分に帰ってきました。25歳の時に交通事故にあって、高次脳機能障害という脳の障がいになり、そこから人生が大きく変わって、今の今まで捕われ続けてます。睡眠障害がひどくて眠れないんですよ。色々とそんなことで悩んでいたら、いつのまにか47歳になっていたと。

ー 今は笑ってお話してくれてますが、なかなかハードな人生ですよね。別府に来たのはいつ頃ですか?

6年前なので、2017年ですね。別府に行こうと思ったわけではなく仕事で来ました。事故の影響もあるんですが、障がいのせいでなかなか仕事も続かないことが多くて。昔から社会と合わないことに常に葛藤がありました。医大の精神科などに通ったり、色々調べていくうちにHSPということも分かり、最近ではようやく自分の現状や病状を客観視できるようになりました。


明るく笑顔で楽しい町に助けられている



ー 眠れないというのは今もですか?

2001年の事故以来ずっとですね。22年間になります。事故の後遺症なので考えてもしょうがないですし、そこに固執してしまっているから何も成せないのは分かってはいるのですが、常に自分の内面と戦っている感覚ですね。神父さんのおかげもあって最近良き出逢いがありまして、今は別府の方達に助けられている日々かもしれません。


障がいと共に生きる田多さん



ー 別府に来てから何か変わったことはありますか?

メリットの方が圧倒的に多いですね。まず「温泉」に毎日入れるということの有り難さ。他県と違って格安で入れますし。そして、その効果はやはり絶大なものがありますね。それから人がやっぱり優しいですよね。

ー やっぱり別府は人がいい、ですよね。たまに頑固な方もいらっしゃいますが(笑)

別府に来た頃は上原町に住んでいたので上原温泉に行ってたんですが、かなり熱い温泉で。僕はあつ湯が得意ではないので水を入れたいんですが、水を入れると怒る方がいらっしゃって(笑)

ー 女子風呂には湯婆婆みたいな人がいるって聞いたことがありますが、男湯にもいますか?まぁ場所や時間帯にもよりますかね。

もちろん、そこはコミュニケーションだってことは分かってはいるんですが、毎日のことだとやっぱりきつくて。近所でもっとぬるめのお湯の温泉はないかと探して、浜脇温泉に通ってました。あそこはぬる湯がありますから。しばらくは浜脇に通ってたんですが、障がい者割り引きがなくなったんですよね。そのタイミングで友人が若草温泉は100円だよと教えてくれて。バイクがあるので、そこからは今回撮影させていただいた若草温泉に通ってました。熱いのに入るよりも、少し遠くてもぬるくて(多少水を入れても大丈夫)安い温泉に行く方を選びましたね。


車やバイクが温泉の目の前を通る



ー 自分が1番入りやすい環境の温泉を探したら若草に辿り着いたって感じですかね?

そうですね。若草温泉は1年くらい通ってましたかね。

ー 若草温泉での思い出って何かありますか?

昔はたしか印刷屋のご夫妻が管理してたかと思うんですが、お二人ともとてもよくしてくださって。たまにジュースをもらったりとか。旦那さんの方は呼吸がよろしくないみたいで、管を付けながら温泉に入られてました。今管理されている長井さんや菅さん夫妻もそうですけど、とにかく優しいですし、いい意味で世話焼きの方が多いなと。あとはお水を出して怒る人はほとんどいませんでしたね(笑)


目立つパトランプが事故0の役に立っている



ー 温泉の加水問題は実際に毎日公衆浴場に通う人にとってみたら、大きな問題ですよね。

熱い温泉が苦手な人にしてみたら、気兼ねなく入れてもいい環境は大事ですね。人が長時間入っていないと源泉掛け流しの場合どんどん熱くなりますから、若草温泉も熱い時はとても熱かったですしね。別府は水道水の方が温泉よりも高いから、管理する側はあまり加水して欲しくないでしょうし。でも、若草で仲良くなったおばちゃんは「じゃんじゃん水入れて大丈夫よ」って言ってくれてましたね(笑)


温泉から湯けむりが上がっているような雲



ー 地域や人で全然違いますよね。今は若草温泉ではなく違う温泉に通っていると聞きましたが。

今は上原から引っ越したので、鶴見病院近くの「吉弘第二温泉」という温泉に通っています。組合員専用、いわゆる「ジモ泉」というやつです。大体同じ時間に入りに行くので必然的に顔見知りも増えますね。


独特な外観の温泉



ー 正しくは「ジモ専」と書くらしく、地元専用(一般の方はお断り)略してジモ専らしいです。何か思い出とかありますか?

あ、そうなんですね。それは初めて知りました。
僕は剣道をやってたので武道に興味があるんですが、合気道をやりたいなと思っていたら、同じ時間に入っているおじさんが合気道の先生だったんですよ。しかも、その方大のぬる湯好きで(笑)僕のためにぬるくしてくれてるんじゃないかってくらいなので、とても助かってます。今では柿やポポーをもらうくらいの仲になりました。

ー ポポー?(笑)

そういう果物があるんですよ。あけびみたいな。「うちにポポーがなってるから取りに来なよ」って言ってくれたり。

ー ポポーもくれて温泉もぬるくしてくれて合気道の話もできて、最高ですね。

温泉の神様かもしれないですね(笑)


若草温泉裏にて



ー 人との付き合いとかマナーとか思いやりとか、温泉で学ぶことも多いですよね。

別府には小さい頃から温泉に通ってる人も多いでしょうから「周りを見る」ってことを学ぶ良い場所になっているのかもしれないですよね。



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