BEPPU ONSEN ROUTE 88

No.15

又吉洋

向原温泉 桜の木に見守られるピンクの湯

桜唇とは、女性の唇の小さく美しいさまを桜に例えていう言葉。大きな桜の木の奥にある向原(むかいばる)温泉で撮影した今回のモデルは、沖縄出身で別府に住んで半年の洋(ひなた)ちゃん。湯が沢山の別府とゆんたく好きの沖縄の共通点とは?


Writer & Photographer : 東京神父

桜の時期に撮影

まずは別府に来たきっかけを教えてください。

洋:地元沖縄のアジアン雑貨のお店で働いていたんですが、2018年の8月に会社から別府に転勤してくれないかと言われまして「あー、温泉で有名な別府ですね」とは言ったものの正直何県かも知らなくて(笑)温泉に入ったこともなかったし、違う街を見てみたいという気持ちもあったので、すぐに別府に来ました。今は別府に住んでちょうど半年ですね。

実際に別府に住んでみてどうですか?

洋:住みやすい街ですね。人がのんびりしているから、沖縄にいた頃とあんまり変わらないです。別府の方は面白いし、ご飯は美味しいし、温泉は最高だし、永住したいです(笑)

沖縄と別府って似ている部分があるのかもしれないですね。

洋:別府に来て最初の日に「海鮮いづつ」でご飯を食べたんですけど、だんご汁、とり天、りゅうきゅう丼って書いてあって。沖縄は別称が琉球だから「りゅうきゅう丼って何!」ってなりまして。後から調べたら、調理法が琉球の漁師から伝えられたという説があるみたいで、沖縄の文化に縁のある街なのかもしれないと思って、初日から親近感が湧きました。多様性や海外の方が多いのも共通していると思います。


瞳の奥に力強さを持っている

逆に大きく違うところって何かありますか?

洋:そうですね。大きく違う点は飛行機の音が聞こえないことですね。沖縄は戦闘機の音がいつも聞こえるので、別府は静かだなと思いますね。あとはとにかく寒いです(笑)雪も別府に来て初めて見ました。

昔は別府も戦闘機が飛んでいたらしいですが、さすがに今は飛んでないですよね。沖縄の人は雪と電車を見たことない人が多いって言いますよね。沖縄には温泉文化はありますか?

洋:沖縄はアメリカの影響もあると思うんですが、そもそも湯船に浸かる文化がありません。みんなシャワーで済ませちゃいます。私も別府に来る前は一年に2回くらいしか湯船に浸からない生活でした。温泉はあるにはあるみたいですけど、入ったことないですね。別府の温泉は熱いので、温度に慣れるのに苦労しました。


温泉で育まれる心根

初めて温泉に入ってみてどうでしたか?

洋:湯船に浸かることでこんなに疲れが取れるなんて知らなかったですし、こんなに安く(公衆浴場は100円で入れる所が多い)入れるなんて思っていなかったので、ハマってしまいました(笑)

おー、いいですね。今も温泉には通ってますか?

洋:今は週3.4回くらいで公衆浴場に通ってます。仕事終わりとか朝8時くらいから街をブラブラしながら、地図を見ずに見つけた温泉に入るっていうのが楽しいです。


淡いブルーとピンクが綺麗

公衆浴場の一番の魅力はなんだと思いますか?

洋:やっぱり人との触れ合いですね。疲れが取れるのもそうですが、地元の方と他愛もない話が出来るのが公衆浴場のいい所だと思います。別府は話しかけてくれる方が多くてビックリしてます。おば様達はみんな熱いお湯が好きで「自分も熱いの大丈夫です!」みたいな顔して無駄に競ったりしてます(笑)なかなか裸の付き合いで喋るってないと思うんですよ。

確かにそうですね。コミュニケーションの場所がお風呂って面白いですよね。沖縄の人もよく喋りますか?

洋:そうですね。沖縄の人はのんびりしている人が多いし、ゆんたく好きな人が多いですね。

ゆんたく?

洋:おしゃべりとか井戸端会議みたいな意味ですかね。「海行ってゆんたくしよー」とか言いますね。別府の人もゆんたく好きな人が多いと思います。

初めて見た時は衝撃的でしたね




別府に来て面白いなと思ったことはありますか?

洋:別府って道から湯気が出てるじゃないですか?沖縄の友達とビデオ通話してる時に見せたら「えー!カッコいい!」って言ってました(笑)初めて見た時は衝撃的でしたね。


別府って沖縄っぽい

別府に住んでると当たり前にありますからね。沖縄ではどの辺に住んでました?

洋:沖縄市です。ちょうど真ん中ぐらいのコザという所に住んでました。米軍の空港もあるので、外国人の方が多かったですね。別府に銀天街ってあるじゃないですか?コザにも銀天街があって、小学校2年生の時に大人達に混ざってワークショップのお手伝いとかしてました。今はシャッター街になってしまってますが。

コザって吉原とかがある所ですかね?

洋:そうです。いわゆる風俗街というか、沖縄の人は「ぬき屋」って言いますけど、そういう地区で母がスナックをやってました。隣も隣もぬき屋でした(笑)栄えてた時は「今日は米軍の団体が来るらしいよ」って街で噂が広まったり、クリスマスに黒人の米兵さんにおみくじ付きの鈴を100個もらったりしたこともあります。

兄妹7人いるんですけど、お父さんが4人いて、お姉ちゃん達とはみんなお父さんが違います




ヘビーな話ですね。他にもヘビーな話持ってそうです(笑)

洋:ヘビーと言えば、小さい頃はスナックのお客さんに囲碁を教えてもらったり、近所のぬき屋のお姉さんに勉強を教えてもらったり、そういう環境の中で育ちました。兄妹7人いるんですけど、お父さんが4人いて、お姉ちゃん達とはみんなお父さんが違います。多種多様な街と環境と人の中で育ったので、別府が心地いいのかもしれません。


それはなかなかに面白い人生ですね。

洋:そうですね。特に恥じたことはないですし、自分の中ではそれが普通でしたから。


温泉まつりの時期は別府は賑やか

別府は面白い人が集まって来る街だし、きっとそういうのも面白がってくれますよね。

洋:自分では分からないですけど、確かにまわりは面白い人達ばかりですね。

今回の撮影はいかがでしたか?

洋:外での撮影は激寒だったので温泉入った時の幸福感と癖になるほんのり硫黄の香りが最幸でした(笑)あと、浴槽?がハワイアンブルーで沖縄の海を思い出しました!

沖縄と別府の共通点が色々見つかった撮影でしたね。今日はありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。

洋:とにかく「人がいい」ですね。接客してる時も「沖縄から来たの?大変でしょう?車も持ってないわよね」と心配してくれて、わざわざ車を出して一人では運べないものを運んでくれたり、お菓子を差し入れてくれたり。別府の人のコミュニケーション能力って凄いなって思いますね。別府はおしゃべり好きな人が多いので、是非地元の方とゆんたくして欲しいです。





MODEL PROFILE

名前:又吉洋(Hinata Matayoshi)
年齢:22歳
出身:沖縄
職業:アジアン雑貨店員


CREDIT

タイトル:桜唇 ゆんたくの街、べっぷ。
撮影日:2019年4月3日
写真撮影&インタビュー:東京神父

撮影協力:向原温泉、別府市、別府市温泉課、福島省三さん、平野幸一さん

※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。

ONSEN INFO

向原温泉

生目神社近くに位置し、別府ならではの半地下にある温泉でピンクの壁が可愛らしい。入り口の駐車場横には大きな桜の木があり、浴場敷地内には、薬師を祀る石殿が西面して建てられている。お湯には湯の花が舞い、硫黄の香りがする。



住所:大分県別府市南立石1082


営業時間:7:00~9:00、11:00~22:00
(定休日:第2第4日曜日)


入浴料金:150円


泉質:単純泉


地図:湯巡りマップ


公式HP:別府八湯温泉道サイト



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