BEPPU ONSEN ROUTE 88

No.33

Aayush Khattri

南的ヶ浜温泉 古くから地元に愛される温泉

アユ(アユーシュ)君はAPUに通うインド人の学生。インドには温泉文化がなく、最初に別府に来た時は裸で他の人一緒に温泉に入ることにカルチャーショックを受けたという。そんなアユ君が見た別府のX-factor(未知の要素)とは?


Writer & Photographer : 東京神父

別府は国みたいです

まずはなぜ別府に来ることになったのか教えてください。

アユ:僕の姉が日本にいて、今は共同通信社で働いています。姉が家で漢字の勉強をしている所を見たりしていたので、日本に少し興味はありました。僕が日本に初めて来たのは2015年、高校生の時です。その時は観光で別府に来ました。まだ日本語も全く喋れませんでした。

外国人が日本人と一緒に働いている別府の街を見て本当に驚きました。インドではあまり見ない光景だったので。外国人でもこんなに活躍出来る街があるんだと思って、別府にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)に行こうと決めました。それで、2017年にAPUの国際経営学部に入学しました。

初めて別府に来た時はどんな印象でしたか?

アユ:別府にインド人の先輩がいて、その先輩と一緒に初めて温泉に行ったんですが、裸になって一緒にお風呂に入ることにとても驚きました。でも、入った時本当に気持ちよくて、インドでは絶対に出来ない経験でした。インドとは全然文化が違うんだなと。街の人やタクシーの運転手さんや、優しい人が多くて日本に来て勉強したいなと思いました。

APUに来てから日本語を勉強し始めたんですか?

アユ:そうですね。

4年でこれだけ喋れるって凄いですね。

アユ:ありがとうございます。日本語は授業よりもアルバイトしながら覚えました。今別府の飲食店「北海道ダイニングHAL」で3年バイトしているんですが、最初は日本語が喋れない僕に店長が「タイミングを見て、お客さんと積極的にコミュニケーションをとりなさい」と言ってくれたり、お客さんも辞書を使っていいよと言ってくれたり、新しいことを毎日学んでいます。

インドはヒンディー語が公用語で次が英語ですけど、小さいのも入れると780言語くらいあります。僕はヒンディー語と英語とパンジャーブ語、ウルドゥー語、日本語が喋れますが、日本語はとても難しいですね。


バイト先の「北海道ダイニングHAL」

凄い。パンジャーブ語なんて初めて聞きました(笑)APUで実際に勉強してみてどうですか?

アユ:挑戦出来る環境なのでとても良いですね。2年生の時にスペインに半年留学して、ビデオグラフィーやビジネスの勉強をしました。スペインは日本よりもインドに文化が近かったですね。日本は良くも悪くも時間に正確だし、細かいですよね(笑)

アルバイトとかに遅刻してそうですね(笑)別府でアルバイトしてみて地元の人と接する機会も多いと思いますが、別府の人の印象はどうですか?

アユ:別府の人は普通の日本人よりも海外の人に慣れてる印象がありますね。本当にあったかい人達が多いです。僕は別府は日本じゃないと思っています(笑)1年生の時は別府=日本でしたが、そうじゃないことが4年いて分かりましたね。


温泉が大好きになった

そうなんですよ。別府は別府国なんです。やっぱり海外の人も同じように感じるんですね。普段は温泉に入ったりしますか?

アユ:よく行きますね。友達と一緒によく鶴の湯に行きます。

別府のチルアウトは別府にしかないです




温泉もそうですが、日本の文化で驚いたことなどありますか?

アユ:一番驚いたのは「歩きながらお酒を飲んでもいい」ことですかね。インドは店や家でしかお酒は飲めないです。(インドでは酒屋等で購入したアルコール類は公共機関に持ち込むことができず、公道ではラベルを見せることも禁止されている)場所によって違いますけど、25歳からしか飲めない地域もあります。

そうなんですね。それも初めて知りました。

アユ:日本では電車などでは携帯の使用はマナー違反とされてますけど、インドでは普通に携帯で喋ってますね。


気持ちよくてつい長湯してしまう

文化の違いって面白いですよね。日本の中でも地域によって違いがありますしね。別府は特に。

アユ:僕はインターンシップで東京にも行ったりしてるんですけど、東京にいると別府が恋しくなりますね。温泉の影響なのか人なのかは分かりませんが、時間がゆったり流れている印象です。別府のチルアウトは別府にしかないです。

自然のエネルギーみたいなものが作用している気は僕もしていて、その温泉地で育ったDNAを持っている人達がこの街を作っているわけです。だから、温泉と人がそのチルアウトを作り出しているのかもしれないですよね。

アユ:そこに色んな国の人が混じってるのがカオスですよね。自分で探して文化に入り込んでいかないと別府は何もない街になってしまうんですよね。英語を教えるバイトだけやっていると視野が狭くなってしまうと思います。

別府に限らずですけど、自分で掘り起こしていく作業は大事なことですよね。せっかく海外から来たなら、文化や歴史や自然や暮らしの中にある「刺激」を自分から求めていかないと勿体無いですよね。

アユ:一番大事なことだと思います。別府には何かがありますよね。X-factor(未知の要素)というか。それぞれのX-factorを見つけられるのが別府の魅力かもしれません。

例えばアユ君にとってのX-factorってどんなことですか?

アユ:さっきのチルアウトの話にも繋がりますが、例えば友人と一緒に駅前にある手湯の前でお酒を飲んでリラックスしてる時間とか、そういう何気ない時間こそが特別なことなんだと思わせてくれることも一つのX-factorだと思います。

それ、凄く分かります。温泉地独特の時間の流れの中にいると「当たり前こそが特別」って気持ちになりますよね。今回モデルに応募してくれたのは新しいことに挑戦してみたいって想いがあったんでしょうか?

アユ:理由はいくつかあります。写真も好きだし、神父さんの企画も面白いと思ったし、もうすぐ別府を離れるのでその記念という意味もあります。でも1番は「別府のために何かしたい」という想いからですね。

今後はインドと別府、インドと日本を繋げることをやりたいと思っています。APUの出口学長がおっしゃっていたのは「美味しい料理と美味しくない料理、どっちを食べますか?」と言われた時に美味しい料理だけを食べる選択をしないこと。美味しくない料理も食べるからこそ、美味しい料理が分かる。つまり、どんなことでもイエスマンになって体験してみることが大事。僕も本当にそう思います。なんでもやってみようと動けば実現する可能性が生まれます。動かなければ頭の中だけで終わりです。

今回の撮影もアユ君が応募してくれたタイミングで会わなければ実現していなかったかもしれないですしね(海地獄で行われたTHE HELLというナイトイベントでたまたまアユ君に会い、駅まで送ったことがきっかけで撮影が実現した)

アユ:動いたからこそ生まれた縁ですよね。前向きに目的に動いていると引き寄せますよね。

本当にその通りだと思います。今日はありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。

アユ:インドは進路を家族が決めたり、自分がやりたいことが出来ない環境にいる人が多いので、僕もこれからもっと挑戦したいし、みんなにももっと挑戦して欲しいと思っています。

別府はなんでも出来る街なので、住んでる人にも観光で来る人にもどんどん挑戦して欲しいです。ただ温泉に入るだけじゃなくてバーやバルに行ったり、地元の人と交流して欲しいですね。縁を引き寄せるのはけっきょくは自分次第だと思います。


常連の松下さんと



MODEL PROFILE

名前:Aayush Khattri(アユーシュ・クハトリ)
年齢:22歳
出身:インド
職業:学生(APU)


CREDIT

タイトル:X FACTOR BEPPU
撮影日:2020年10月16日
写真撮影&インタビュー:東京神父

撮影協力:南的ヶ浜温泉、別府市、別府市温泉課、佐藤正敏さん、松下眞子さん、しろちゃん、シャムちゃん、別府八湯温泉道名人会

※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。

ONSEN INFO

南的ヶ浜温泉

浴槽周りの析出物が歴史を感じさせる。敷地内に源泉がある独自源泉の共同温泉。古くは上的ヶ浜温泉と呼ばれていた。別府では遅めの朝10時オープン。レトロモダンな外観も特徴的だ。



住所:大分県別府市南的ケ浜町4−8


営業時間:10:00~22:00
(定休日:第1・3日曜日)


入浴料金:200円


泉質:塩化物泉


地図:湯巡りマップ


公式HP:別府八湯温泉道サイト



BEPPU ONSEN ROUTE 88