野口真美

まずは大分に来るまでの簡単な生い立ちを教えてください。

真美：生まれは福岡なんですが、家が転勤族だったので3歳の時に山口県、6歳の時に大阪、中学2年生の時に最後の転勤ということで大分に引っ越してきました。妹が一人いるんですが、家族4人で大分に来るか、父だけ単身で行くか、ギリギリまで悩んでの結論だったことを覚えています。

その時に大分に来ていなければ、今も大阪だったかもしれないってことですよね。

真美：そうですね。大分に来てすぐは物足りなくて、本当に大阪に帰りたかったですね。電車全然来ないし（笑）

大阪と比べたらそうですよね（笑）

真美：大阪よりも校則も厳しかった気がします。髪は結ばなきゃダメとか、ゲームセンターには行っちゃダメとか。最初は窮屈でしたね。

僕の世代の（昭和53年生まれ）別府の中学は荒れてましたし、先輩達は誰も校則なんて守ってなかったです。もしかしたら、それが原因でどんどん厳しくなっていったのかもしれないですね（笑）

真美：時代もありますよね。高校も大学も大分でしたけど、大人になってから大分の魅力に気付けた感じですね。

僕も同じです。特に若いうちは都会への憧れもあるし、なかなか自分が住んでいる街を誇れる感覚って生まれて来ないですよね。今はフリーリポーターをやっていると思うんですが、最初からリポーター志望でしたか？

真美：いえ、最初は保育士さんになりたかったんですよ。高校の先生と面談した時に行きたい大学とか夢を聞かれて、「将来は保育士になりたいです」って答えたら、「うちの高校じゃなくてもよかったね」と言われて（笑）その時は夢を変えなきゃ！くらいのことを思いました。食にも興味があったので、じゃあ家庭科の先生になろう！と思って、大学に入って家庭科の教員免許を取りました。

なるほど。保育士から家庭科の先生は流れが自然に思えますが、そこからなぜリポーターに？

真美：大学1年生の時に、大分のトキハの屋上にあったビアガーデンでアルバイトをしてたんですよ。そこはステージもあるビアガーデンで、アルバイトでローカルアイドルを作ってショーをやろうという話になりまして。「野口さん、やらない？」と言われたのが人前に立つきっかけです。

歌ったり踊ったり、合間にMCをしたりしてたんですが、それが凄く楽しくて。ビアガーデンって夏限定だから、夏が終わったらグループも解散なんですよ（笑）それが寂しくて、これを一生の仕事に出来たら楽しいだろうなーと思ったのがリポーターになりたいと思ったきっかけですね。

やりたいと漠然と思っていたことよりも、やってみて楽しい！と思えた感覚を優先したということですかね？

真美：そうですね。あと、当時は人前に立つ仕事は若くないとダメだと思っていたので、そっちの道を選ぼうと決心しましたね。今は年齢関係なく、やりたいと思ったことは挑戦したらいいと思ってますけど。

僕も後者の考え方ですね。今は大分でフリーリポーターとして活動している感じですか？

真美：ラジオのパーソナリティーをやらせていただいたり、TVでMCやリポーターをやったり、司会業をやったり、オールマイティーに活動させていただいてます。

取材で別府に来ることもあると思いますが、別府に縁はありますか？

真美：取材も多いですし、一緒にご飯に行ったりする友達も多いです。ここ3、4年はアーティストの方が増えた印象もありますね。別府に行く時はいつも海外に行くみたいな気持ちになります（笑）

大分の中でもやっぱり異色な街ですよね、別府は。

真美：大分市内から車で20分ちょっとで「異国の地、到着！」みたいな気分が味わえるのは凄いと思います。エモーショナルな場所が多い気がします。

撮影したヤングセンターも取り壊しのタイミングだったので、かなりエモーショナルでしたよね。

真美：「ヤングセンター」エモいですよね。今はなくなりましたが、秘宝館とかも行きたかったです（笑）残ってて欲しかったです。神父さんはこれからヤングの温泉にあるステンドグラスを残すプロジェクトを立ち上げると伺ったので、色んな場所にお嫁に行ってくれるといいですよね。

プラスのイメージが湧く街ですね

ありがとうございます。ある意味で貴重な文化財ですからね。別府は温故知新や不易流行がある街ですよね。

真美：なくなってしまうものも多いとは思いますが、いい形で昔のものや場所が残っている印象はありますね。「古っ！」っていう悪い意味じゃなくて「懐かしいなー」っていうその感覚を未来に繋げられる、そんな気がします。プラスのイメージが湧く街ですね。

その街に住む人も強烈だと思いませんか？

真美：そうですね。別府の人はみんな「別府大好き」ってパワーが凄いですね。大分市内に住んでいる私の友人で「大分大好き！」ってあんまり聞かないです。別府は大分みたいに「しゃーなし（しょうがなく）残ってる」みたいな人がいないですよね。あくまでも印象ですけど（笑）

なんかもう別府人みたいですね（笑）というより、別府好きならもうすでに別府人ですよね。僕は大分に住んでいる人から別府がどう見えているのか気になります。

真美：別府を良く知らない人は普通の観光地、温泉地と思っていると思います。誇りに思っている人も多いと思いますが、もっと誇ってもいい！！と思います（笑）私は別府に友人も多いので、知れば知るほど街や人の個性が輝いてるなーって思いますね。何事もそうだと思いますが、知らないと分からないことだらけですね。

別府の温泉には入りに来たりしますか？

真美：よく行きますよ。鬼石の湯とかはお気に入りです。どうしても設備の整った、観光客向けの温泉に行くことが多くなっちゃいますね。秘湯とか昔ながらの公衆浴場にはあまり行かないかもしれないです。

普通はそうなっちゃいますよね。

真美：憧れはありますけど、敷居が高いイメージはあります（笑）別府人のテリトリー的なイメージはありますね。

「オープンさ」と「別府愛」はいつも話題になります

好きな温泉とかはありますか？

真美：女友達と一緒に家族風呂に入ったりするのも好きなので桜湯は好きですね。あとよく行くのが鬼石の湯。夢たまて筥とかも好きですね。

今日撮影した温泉閣はどうでしたか？

真美：初めて行きましたけど、とても良かったですねー。温泉のいい成分がまだ残ってる感じがします。女将さんと息子さんの熱量も凄かったですよね。別府の人のおもてなしが全部詰まってる感じでしたよね。

こっちがオープンだと、その倍くらいの熱量でオープンになってくれるのは別府人の特徴だなといつも思います。人間っぽいなと。「え、そんな所も撮影OKなんですか？」みたいな。普段から温泉に入ってるから、熱量に関しては敏感なのかなと思ってしまうくらいです。

真美：別府を取材すると、やっぱりその「オープンさ」と「別府愛」はいつも話題になります。

出身っていうのももちろんありますが、僕も別府が世界一の街だって本気で思ってますからね。

真美：だと思いました（笑）移住してくる人も最近増えてますもんね。

それでいて、人によってまた少しずつ感じ方が違うのも面白いなーと思います。魔境とか魔界だっていう人もいますから。

真美：魔界！たしかに地獄も巡れますしね（笑）

東京の友人とかに説明する時は「時空が歪んでる」とよく言うんですが、やっぱりその感覚は2、3日の滞在だとなかなか伝わらないので、それこそ温泉閣みたいな宿に1週間くらい湯治に来て欲しいですね。

真美：私は大分の人にこそこういう宿に泊まって欲しいですね。市内からすぐの場所にこんな異空間があって、温泉に癒されるなんて本当に贅沢だと思います。

プリンも美味しいですしね。

真美：ほんとに！ここでしか食べられない独特な味わいで、最高に美味しかったです。

鉄輪エリアは別府でも一番湯けむりが上がってて情緒溢れるエリアなので、初別府の方にはオススメですね。

真美：私みたいに別府に住んでいる方と友達になるのもオススメですね。さらに深い別府の魅力や人の面白さに気付くことが出来ると思います。ほんとに個性が爆発している方が多いですから。

今日はありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。

真美：別府は別府八湯というだけあって、別府の中でもエリアがあって街並みも温泉の泉質も全然違ったりするので、その違いを感じるのも楽しいと思います。大分にいると逆に別府に来ることがないっていう方もいると思うので、温泉だけじゃなくて、異空間を楽しみに来て欲しいですね。

特別だけど、それでいて人々が営む日常が垣間見える観光地なので、いい意味で身近さがあると思います。もっともっと気軽に足を運べる場所なんじゃないかなと思います。これだけ観光地価格じゃない観光地も珍しいと思います（笑）是非、大分の方も県外の方も遊びに来てください。