BEPPU ONSEN ROUTE 88

No.46

阿比留亜須華

杜の湯リゾート 水着で楽しめる庭園露天風呂

長崎県対馬市から別府に移り住んで6年。現在は大分でパーソナルトレーナー兼ウォーキングインストラクターとして活動する亜須華さん。
別府移住者の彼女の目に映る別府の町の面白さとは?別府でも珍しい水着を着て入れる混浴がある「杜の湯リゾート」さんで撮影してきました。


Writer & Photographer : 東京神父

冨士屋一也百(はなやもも)ホール&ギャラリー

まずは簡単な生い立ちを教えてください。

亜須華:日本とフィリピンのハーフなんですけど、父親が韓国と日本のハーフで、母親がフィリピン人で中国とのクォーターなので、厳密に言うと4つの血が入ってます。長崎の対馬で生まれて、小学生1年生の時に1年だけフィリピンの学校に通ってました。2年生からは日本に戻ってきたんですけど、漢字とか全然分からなくて。

珍しい環境で育ったんですね。

亜須華:そうですね。最初は大変でしたね。それで中学生の時に福岡に遊びに行った時にモデルにスカウトされて、レッスンとかに通うようになるんですけど、色んな理由で続けられなくなってしまって、モデルはその時に一度諦めました。その後、17歳の時に付き合った彼氏が大分に仕事で引っ越すってなった時に一緒に別府に出てきました。それが20歳の時でしたね。

好きな人と一緒にいるために別府に来たんですね。ロマンチック。

亜須華:最初は鉄輪温泉の辺りで一緒に住んでましたね。彼が福岡に転勤になるタイミングで別府に一人で住むことになりました。別府に来てからまたモデルのお仕事をやったりもしてたんですが、そもそもモデルが好きというよりも、綺麗に歩くことを見せたいっていう想いが強くて。今の仕事(パーソナルトレーナー)を始めて、よりウォーキングに力を入れるようになりました。

「綺麗になったよね」までのお手伝いをしたい




僕も亜須華さんがモデルとしてウォーキングしていた時の撮影で初めてお会いしてるんですが、たしかにウォーキングは圧巻でしたね。

亜須華:ありがとうございます。今はウォーキングインストラクターとしても活動してるんですけど、トレーニングを指導する仕事って身体を作る手伝いや痩せる手伝いは出来ても、綺麗になった後のサポートまでしているところって少ないなと思っていて。皆さん痩せた後のベストな自分の見せ方ってなかなか分からないと思うんですよね。ただ痩せたってだけじゃなくて、例えばそれが姿勢だったり、歩き方だったりまでサポート出来れば「綺麗になったよね」までのお手伝いが出来るんじゃないかと思ったんですよね。

確かに「痩せる=綺麗になる」という訳ではないですよね。

亜須華:そうですね。最初はパーソナルトレーナーだけだったんですが、そういうところまでサポートしたいっていう想いから、今は大分市でウォーキングインストラクターとしてもお仕事させてもらっている感じです。元々は本当に運動が嫌いなので、逆にそういう人達の気持ちもとてもよく分かるので、一緒に課題をクリアしていけるかなと思っています。


冨士屋一也百の明治からある建築

なるほど。では今は別府に住みながら、大分市に通っているということですね。彼と一緒に福岡に行くっていう選択肢はなかったんですか?

亜須華:20歳の時から同棲していたので、ちゃんと自立したいっていう想いと、あとは単純に別府という街が住みやすかったっていうのはありますね。

別府の住みやすさって具体的にどんなところですか?

亜須華:のんびりしてる感じとか、いい意味で街じゃなくて町って感じが好きです。生まれが対馬っていう離島なので、福岡とか大分市とか、街(都会)に住むっていうのがイメージ出来なかったのもあります。あとはシンプルに温泉の魅力も大きいですよね。

やっぱり移住してくると、温泉も住みやすさに直結しますか?

亜須華:移住してきた最初の頃は共同浴場にはあまり行かなかったんですよ。人の目とか色々気になってしまって。最初は人の少ない時間帯に行ったり、タオルで隠したりしてたんですけど、慣れって恐いですね。最終的には普通に入れるようになってました(笑)数百円で出来る最高の贅沢って思えるようになりましたし、メンタルっていう意味でも鍛えられた気がします。

なるほど。たしかに住みやすさって自分のメンタルだったりしますしね。それを別府という町に教えられたと。

亜須華:そうですね。人との接し方は昔と比べると格段に柔らかくなりましたね。あとシャワーですませる時とお湯(温泉)に浸かる時の疲れのとれ方が全然違うってことも別府で初めて知りました。


温泉が通って白くなった壁

たしかにその違いは大きいですよね。東京にいるとシャワーで済ますことも多いんですが「疲れを取る」ためのお風呂タイムとは違いますよね。

亜須華:そうですね。職業的にも身体を動かすので「疲れを取る」ことはとても大事なので。足の疲れとかに敏感になったので、より自分の身体を労れるようになりましたね。

たしかに温泉に気付かされることは多いです。好きな温泉とかありますか?

亜須華:ひょうたん温泉」は好きですね。シャンプーとコンディショナーがとてもいいんですよね。あとは「白菊」さんの温泉とか。市営の温泉とか行きたいなと思う場所は沢山あるんですけど、なかなか行けてないのが現状ですね。あとは個人的に電気風呂に興味があるので行ってみたいです。


別府にいると「どこでもドア」があるような気分になりますよね




ひょうたん温泉は僕も別府の大好きな温泉ベスト3に入りますね。サロンで使用されてるシャンプーとコンディショナーが置いてあるのは別府でもひょうたん温泉くらいじゃないですかね。電気風呂は別府でいうと「やまなみ」「夢たまて」「かっぱ」とかですかね。

亜須華:ひょうたんの女風呂の大浴場は露天が2つあったり、とっても過ごしやすいですね。電気風呂は近々挑戦してみたいと思います。

温泉地じゃないと温泉ってわざわざ行く場所だと思いますが、温泉地に住んでると1日のスケジュールの中に「ランニング」みたいな感じで「温泉」って入れられますよね。日常と非日常を1日で行ったり来たり出来るのは凄い魅力ですよね。特に別府は温泉に「歩いて」行けますからね。

亜須華:日常にほんの少しの非日常っていうバランスがとてもよくて、それが気軽に味わえるっていうのは住みやすさに直結すると思います。

今日撮影した杜の湯リゾートさんも、ほんとに日常の中の非日常って感じでしたよね。

亜須華:程よいリゾート感があって、とてもリフレッシュ出来る空間でしたね。別府にいると「どこでもドア」があるような気分になりますよね。

ヤングセンター跡地にて

なるほど。でもそれってやっぱり移住してきたからこそ、気付ける目線だなと思うんですよね。温泉=特別っていう感覚というか。

亜須華:別府の人は温泉が当たり前ですもんね。その中でも今日行った杜の湯リゾートさんは水着で入れるから、さらに新鮮だし特別感がありましたね。

水着で混浴って別府でも珍しいので、別府の人にこそ入りに来て欲しい温泉ですね。

亜須華:撮影の時に確認したんですけど、杜の湯リゾートさんの混浴は(水着を着ているので)他のお客さんに迷惑にならなければ携帯で写真を撮影して、SNSにアップしたりもOKだそうなので施設としても良心的ですよね。

雰囲気的にも沖縄っぽいし、写真撮れるのはめちゃくちゃいいですよね。

亜須華:温泉っていうより、南国のプールって雰囲気でしたよね。

亜須華さんはモデルさんとしても活動してると思うんですが、水着を着て温泉で撮影ってなかなか珍しいと思うんですが、今日は撮影してみてどうでしたか?

亜須華:杜の湯リゾートさんの環境が良かったのもありますが、素直に温泉を楽しんだので撮影も楽しかったですね。

良かったです。車でちょっと行けば、観光名所と温泉が山ほどあるってほんと贅沢ですよね。

亜須華:湯布院も車で30分とかですからね。最終的に永住するならやっぱり別府がいいですよね。


昔は別府にも秘宝館がありました

僕もほんとにそう思います。時間がゆっくり流れてる感じがしますよね。100年とかの単位で見たら、都会よりほんとに0.02秒くらい遅れてるんじゃないかと思います。

亜須華:(笑)ゆったりしてるっていうのは感じますね。歩く時もちょっとゆっくり歩きたくなりますからね。

別府は歩くと楽しい町ですよね。

亜須華:同じ道を行って帰ってくる、というよりも1周出来る感じがいいですよね。ぐるっと1周したくなる町。

「ぐるっと1周したくなる町」いい響きですね。

亜須華:何周もしてると段々湯けむりや硫黄の匂いも当たり前になってきて、慣れちゃうんですよね。

別府人の仲間入りを果たしたわけですね。

亜須華:別府というワードが強すぎて、私の周りでも長崎というより「別府の人」って認識されるようになってきましたね。

別府出身の僕からするとそうやって別府に移住してきた人が、永住してもいいと思ってくれるのは凄く嬉しいですね。

亜須華:色んな意味でコスパのいい町だなーと思います。無理せず贅沢出来る町ですよね。別府出身の方はそれを贅沢とは思わないのかもしれないですが。あと物欲がなくなりましたね。

別府人の日常はそれ以外の人の非日常ですからね。ずっといると麻痺してきますが、めちゃくちゃ贅沢な環境だと思います。たしかに別府にいると物欲より、体験欲が増すかも。

亜須華:形に残るものにかけていたお金が、形にならないものにかけるようになりましたね。あと、これは個人的な話ですけど、TシャツとGパンが似合う女子になりたいっていう理想があって、そういう意味でも「自然体」でいられることを選ぶようになりましたね。

シンプルな言葉が一番伝わる




暮らしや考え方がシンプルになってくる気がしませんか?これは都会の生活を知ってるからだとは思うんですが。

亜須華:パーソナルトレーナーって、トレーニングを教えて、見るっていう仕事ではあるんですが、言葉で伝える仕事でもあるんですよね。その言葉に説得力がないとやっぱり生徒さんもついてきてくれないし、そのためにはまず自分がやらなきゃいけないんですよね。

自信や説得力やモチベーションや、そういうのを上げるために一番必要なことってシンプルに考えて、シンプルに行動するってことだと思うんですよね。この町にいるからかどうかは分かりませんが、シンプルにやるっていうことは意識していることかもしれません。結局一番伝わる言葉もシンプルな言葉なんですよね。


庭園風呂は7つの温泉が楽しめる

たしかに、難しい言葉を並べるよりも分かりやすい言葉で伝えることって大事ですよね。あとは自分が努力している姿を見せるって大事なことだと思います。

亜須華:好きな女優さんとかのメイク動画をyoutubeとかで見ると、こんなに綺麗な人もこんなに時間かけて努力しているんだって思うことがよくあって。そういう姿を見ることで自分のモチベーションも上がるので、それは自分が人に伝える時にもしなきゃいけない努力だなって思います。その努力は見た目や言動にも反映されますからね。憧れの人達の当たり前を自分の当たり前にしていきたいと常日頃から思ってます。

やってる人が言うからこその説得力ですよね。全ては日々の心構えですよね。

亜須華:その通りだと思います。努力をしましたって言葉にすることも大事だと思うんですよね。

何かパーソナルトレーナー(ウォーキングインストラクター)として大事にしていることはありますか?

亜須華:最終的にはウォーキングインストラクターとして日常生活での綺麗な歩き方を伝える必要がなくなればいいなと思います。世の中全ての人が姿勢がよくなって、綺麗に歩くことができれば私の仕事っていらないんですよね。いつかそうなるために今を大事にしているって感覚はありますね。

あと、仕事でよく伝えるのは「いいクセをつけていきましょう」ってことで、クセっていう言葉をいい言葉と捉えて、例えば「私いい姿勢をするクセがあるんです」みたいな。いいことを習慣化していくことで、自然にそれが出来るようになったら素敵だと思うんですよね。そのお手伝いをさせてもらっている感じです。

パーソナルトレーナーとしての仕事とウォーキングインストラクターとして魅せるウォーキングを伝える仕事は続けたいので、無くなると困りますが(笑)

なかなか面白い考え方ですね。喋ってる表情を見てても仕事が大好きなのが伝わってきます。

亜須華:今まで人に頼ってきたっていうコンプレックスみたいなものがあったんですが、今は自分で立ってるっていう感覚があるので、そこは自信を持ってやってますね。

今日はありがとうございます。最後にこれから別府に来る人へメッセージをお願いします。

亜須華:本当に別府に永住してもいいなって思ってるんですけど、地元以外でそう思える場所ってなかなかないと思うんですよね。なんとなく落ち着く、なんとなく馴染む、なんとなく居心地がいい、このなんとなくという感覚を信じてもいいんだって思わせてくれる町っていうのは別府ならではかなと思います。

温泉も最初はそこまでハマったりしないだろうなと思ってましたけど、インドアな自分がアウトドアになるくらいよく行ってますし。だいぶ別府に影響を受けてると思います。でも、それって実は本質的に自分がやりたかったことなんだと思うんですよね。そういう「なりたい自分」を出せる町っていうのが1番の魅力かもしれないですね。出せなかった自分らしさを出せる町なんだと思います。

それめちゃくちゃ分かります。好きなことを好きって言っていいんだ、こんな自分でいいんだって思わせてくれる町ですよね。

亜須華:観光で来る方はさすがにそこまで思えないかもしれませんが、別府の人達の寛容さというか懐の深さみたいなものは、ちょっとした旅行でも感じてもらえるんじゃないかなと思います。別府に来るならシンプルに人と接する旅をしてもらいたいと思いますね。

あとは是非「杜の湯リゾート」さんにも足を運んでいただきたいですね。お世辞抜きでオススメです。


鉄輪温泉にある「ひかり食堂」のオムライス

MODEL PROFILE

名前:阿比留亜須華(Asuka Abiru)
年齢:26歳
出身:長崎
職業:パーソナルトレーナー


CREDIT

タイトル:Take a bath in Beppu
撮影日:2022年4月13日
写真撮影&インタビュー:東京神父

撮影協力:杜の湯リゾート、別府市、別府市温泉課、レアインテグレ冨士屋一也百 Hall&Galleryひかり食堂

※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。

ONSEN INFO

杜の湯リゾート

立ち寄り湯ができる庭園風呂「空の湯」は別府でも珍しい水着で入れる温泉。混浴なのでカップルや家族、友達同士でも楽しめる。有料のレンタル水着やタオルもあるので手ぶらでも入浴可能。緑に囲まれて入る温泉は足湯やジャグジーなどバリエーションも豊富で、リゾート気分を味わえる。



住所:大分県別府市大字鶴見字照湯1413-13


営業時間:11:00~22:00(最終受付21:30)
11~3月は21:00


入浴料金:大人1300円、子供650円


泉質:単純泉


地図:湯巡りマップ


公式HP:別府八湯温泉道サイト杜の湯リゾート



BEPPU ONSEN ROUTE 88