BEPPU ONSEN ROUTE 88

No.19

土井あづみ

此花温泉 光町大火で焼失も再興した温泉

土井あづみちゃんは別府の大学生。今回の撮影は彼女に密着し、別府の大学生の1日をお届けするというもの。モットーは「一日百笑」という彼女の笑顔溢れる暮らしは、人と繋がる別府ならではのとても濃いものでした。


Writer & Photographer : 東京神父

pm17:30 youもmeもゆめタウン

温泉地はマネキンも裸(恐らく準備中)

映画を観終わって夕食まで少し時間があったので、あづみちゃんに次の予定を聞いてみた。「シャンプーがなくなるのでゆめタウンで買い物してもいいですか?」自由に休日を過ごしてとお願いしたのはこちらなのでもちろん同行する。

映画館から歩いて10分ほどのスーパーへ。「このマネキン風呂上がりですかね?」あづみちゃんがふざけてツッコミを入れる。一瞬「自分らしく生きよう」というキャンペーンなのかと疑ってしまいそうになるくらいだ。別府という街はそういうことをやりかねない(笑)

pm18:55 友達の友達は大体友達

初対面でもすぐ打ち解け合える別府人

買い物を終え、一緒に夕食を食べに行く知人との待ち合わせに別府駅に向かう途中、僕の知り合いの笈西さんに遭遇した。「神父ー!久しぶりー!」笈西さんもあづみちゃんに負けず劣らずエネルギッシュだ。別府にはこんな人がゴロゴロいる。行きたいイベントに行き、食べたいものを食べ、観たいコンテンツを観て、会いたい人に会う。

全ては叶わないにしても、そういう姿勢で人生を楽しむことが大切だ。この日のあづみちゃんは言い訳を一言も口にしなかったし「今日やりたい」と言っていたことを全て実行に移した。初対面の笈西さんとあづみちゃんが旧友のように話している姿を見て、SNSで行けないイベントに対して「行きたかったんですが、その日は忙しくてすみません!」と書き込む自分を深く反省した。

pm19:00 言い訳ばかりでいいわけない。

別府駅にて

僕らは往々にして「やりたかった」「行きたかった」と人生に言い訳をつけて、お金が、時間が、距離が、と行動しなかったことに理由をつける。自分がやりたいことを真っ直ぐにやり続けるのは難しいことだけれど、結局選ぶのは自分だ。

「美味しいラーメンが食べたい!」と思ったら何が何でもラーメンを食べに行く。そんなわけで、共通の知人である鶴田さんに車を出してもらい、別府駅で待ち合わせ。僕らは「夢を語れ」へ出発した。



pm19:15 「夢を語れ」で夢を語る

左から熊八さん、店主の西岡さん、あづみちゃん、鶴田さん

夢を語れ」は別府らしいユニークなラーメン屋だ。お店がスタートしたのは京都だが、別府という街にとてもマッチしていると思う。訪れたお客さんが食後に自由に自分の夢を語れるという仕組みがあり、小中学生は夢を語るとラーメン代が無料になるという素敵なお店だ。ただ、初対面の人の前で夢を語るのはなかなか勇気がいるのも事実。


麺カタコッテリのいわゆる「二郎系」ラーメン

あづみちゃんはと言えば「えー!恥ずかしい!!」と言いながらも、しっかり夢を語っていた。「私の夢は4月から内定を頂いている会社で、大分支店の立ち上げをさせていただくことです。今まで別府でたくさんの人に出会い、応援していただき、支えていただきました。これからは自分が社会人としてたくさんの恩返しをしていきたいです。あと、大分支店立ち上げから5年以内に支店長になるのも夢です(笑)絶対なります!!!」


夢を語った後は全員で「Good Job!!」

あづみちゃんは自分が何かをして相手が喜んでくれることが嬉しいと言う。そういう理念を持った会社を選んだのだそうだ。やりたいことが見つからない、好きなことが分からない。そんな人は是非あづみちゃんを参考にしてもらいたい。よく笑う人のまわりには不思議と笑顔な人が集まってくる。


よく笑い、よく食べる

彼女はとにかくやりたいことをやってみるというスタンスで1日を過ごしている。自分の好みなんて体験の中からしか分からない。ベトナムに行ったから自分がベトナムが好きだと分かるし、人前で話すということも、それが自分に向いているか向いていないかはやってみないと分からないのだ。

pm21:30 コンビニも魔法にかかる

知らない観光客の方も一緒に記念撮影

「夢を語れ」を後にして、ちょっと飲みにでも行きますかと撮影しながら駅前通りのローソンに入ると、この企画でモデルになってもらった明日香さんと茉那ちゃんが買い物している最中だった。店長の照山さんに許可をもらい記念撮影。後ろの観光客であろう外国人さんも一緒に。東京のコンビニでこの連鎖反応はなかなか味わえない。

pm21:45 フランス人に下戸はいない?

フォレストアドベンチャーの皆様と

まだ一滴も酒を飲んでいないのに、そんなノリで撮影して外に出ると先日「the HELL」で飲んでいたフランス人に偶然遭遇。僕が片言の英語で「Do you remember me?」と聞くと「oh!sure!!」とハグしてくれた。彼らはこれから別府に出来るアウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」の技術者さん達で別府に何日か滞在しているとのことだった。「どこかに美味い酒を出すいい店を知らないか?」と言われたので、僕達もこれから飲みに行くから一緒に行こうと誘い「元町バー」へ。

pm22:00 人が出逢う「元町バー」

初対面でも仲良くなれる別府

元町バー」は東京ではほとんど飲みに出かけない僕も、別府に帰ると必ず飲みに行くバーだ。あづみちゃんと初めて会ったのも(確か)このバーだった。雰囲気もマスターも素敵で常連客も多い。フランス人達も素敵なお酒と夜に酔っ払いながら、別府を満喫してくれたのではないかと思う。めちゃくちゃ飲みまくってたけど、大丈夫だったのだろうか(笑)


別府ブルーバード劇場にて

「元町バー」を出て鶴田さんとも別れ、朝話していた家の温泉で撮影するために、あづみちゃんの自宅へ。余談だが、この家のお風呂はTVデビューもしている。そのくらい普通ではない。

pm0:00 ラーメン3分、温泉30秒

本当に凄い勢いで温泉が出てくる

東京で「実家温泉なんですよ」と言う話しをすると「温泉旅館なんですか?」と聞かれることも多い。正しくは「実家のお風呂から温泉が出るんです」と言うべきだろうが、別府で育つと感覚が麻痺してしまう。僕は中学を卒業するまで日本にある「銭湯」は全て温泉だと思っていたくらいだ。


普通のマンションではありえない蛇口(笑)

源泉数、湧出量は日本一、公衆浴場の数は100を超える街では普通の家のお風呂からも普通に温泉が出る。もちろん全てではないが、マンションに住人専用の温泉があったり、僕の実家のようにお風呂だけでなく、台所の蛇口からも温泉が出てくる家もある。

あづみちゃんの家のお風呂ももちろん温泉だ。家賃5万(あづみちゃんはルームシェアしているので実質2万5千円)の家に源泉かけ流しの温泉が付いているのは全国的にも珍しいのではないだろうか?しかもお湯はたったの30秒で溜まる。「温泉で部屋を決めました」というあづみちゃんの気持ちもよく分かる。



am1:00 あの地下室

かなり広い地下室付き

この部屋の凄い所は温泉だけではない。謎の地下室がついているのだ。そう「ゑり章」のおば様が話していた「あの地下室」だ(笑)あづみちゃんは物置として使用しているそうだが、かなりの広さがあり、カオスな別府ならではの物件だった。24時間の密着もほぼ終了。次の日の朝、また同じ場所で会う約束をしてこの日は別れた。

am6:30 日常こそが宝物

一日お疲れ様でした

昨日と同じ海沿いで朝ご飯を食べながら、あづみちゃんに一日撮影した感想を聞いてみた。「撮影が決まってすぐ、痩せると決めたのに結局痩せれなかったことが残念です(笑)最初は恥ずかしい気持ちと私でいいのかという気持ちでいっぱいでしたが、とても楽しい撮影でした。22歳の私が過ごす別府での日常がこのような形で残ることがとても嬉しいです。一生の宝物になりました!」



am11:30 縁の街の力持ち

トキハ別府店ノルディックウォーク健康教室の皆さんと

撮影も無事終了し、この日も学校が休みだというあづみちゃんと海でダラダラ話をしていると、ノルディックウォークで歩いてくる集団に遭遇した。その中の一人に菊地さんがいた。菊地さんは昨日会った車椅子の剛さんを紹介してくれた方でもあり、別府で沢山の縁を繋いでいる人でもある。まさに縁の街の力持ち。こういう人に別府が支えられているのだなと思う。

あづみちゃんともすぐに意気投合。健康教室のおば様方は僕のことをずっと「東京新聞」の取材の人と勘違いしていたが、それも良しとしよう。最後の最後で知り合いに合うのがなんともまた別府らしい。

pm12:00 海闊天空

踊る阿呆側になれるのが別府

今回の1日密着の撮影で、知り合い含め30人以上の方達と撮影させてもらった。ほぼ偶然の出逢いでこの人数はなかなか凄い数だと思う。そのほとんどの人達と会話するあづみちゃんを撮影して感じたこと。それはその瞬間に幸せを感じると人は自然と笑顔になるんだなということ。そして、あづみちゃんがほとんど周りの目を気にしていなかったということだ。

幸せを感じて笑うなんて、当たり前のことかもしれないし、撮影という名目がなければ多少は人の目も気にするのだろうけど、大口開けて笑うあづみちゃんの笑顔は「今死んでも後悔なんてないわ」というくらい潔いものに見えた。もちろん、その裏には沢山の涙を流す経験があったのだと思うし、弱いからこそ、強くなろうと人一倍笑うのかもしれないが、その姿はとても美しかった。

あづみちゃんが夢を語れで語った「別府に恩返しをしていきたい」という言葉。街に恩を返すということは、その街に住む人達を笑顔にするということかもしれない。

あづみちゃんのモットー「一日百笑」とは、きっと自分が笑うだけでなく、人と出逢い会話することで沢山の人達を笑顔にすることなのだと思う。別府だけでなく、沢山の街で沢山の人を笑顔に、そして幸せにして欲しい。

最後に撮影した写真に写っている笑顔を全て数えてみたが、言うまでもなく「百笑」をゆうに超えていた。





MODEL PROFILE

名前:土井あづみ(Azumi Doi)
年齢:22歳
出身:大阪
職業:学生(APU)


CREDIT

タイトル:Smile Denocracy
撮影日:2019年4月17日
写真撮影&インタビュー:東京神父

撮影協力:此花温泉、別府市、別府市温泉課、星野隆昭さん(光町1区自治会長)
Special Thanks:
中島さん、剛さん、ユキハシさん、大さん、神麻さん、謙蔵さん、照さん、笈西さん、鶴田さん、西岡さん、明日香さん、茉那ちゃん、照山さん、菊地さん、友永パン屋清島アパートスパイス食堂クーポノスきものかふぇゑり章the HELL別府ブルーバード劇場ゆめタウン別府店夢を語れ別府ローソン別府駅前通り店フォレストアドベンチャー・別府元町バートキハ別府店ノルディックウォーク健康教室

※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。

ONSEN INFO

此花温泉

住宅街の路地奥にひっそりと佇む憩いの温泉。小判型の浴槽には常に新鮮なお湯が注がれている。貼り紙の多さは共同湯が地元住民の支えあいで維持、運営されている証。



住所:大分県別府市光町7−5


営業時間:6:30~12:00、14:00~22:00


入浴料金:100円


泉質:単純泉


地図:湯巡りマップ


公式HP:別府八湯温泉道サイト



BEPPU ONSEN ROUTE 88