BEPPU ONSEN ROUTE 88

No.56

畑山知美

湯山の里温泉 自然と一体になれる温泉

WANDER COMPASS BEPPUでコンシェルジュとして働くともみちゃんは愛称timo(ティモ)として別府で愛される温泉大好きなベッパー。今回は朝・昼・夜で違う顔を見せる別府の街をtimoちゃんチョイスで紹介してもらいました。
朝は自分時間を大事に。昼はガイドとして別府愛溢れるおもてなし。夜は大好きな人への愛が溢れるデート。timoちゃんと別府の街が魅せるギャップにご注目ください。


Writer & Photographer : 東京神父

pm7:00
デートに温泉って別府ならでは。車を運転するの好きなんよね。行きたい温泉に連れて行っていい?家族風呂なら一緒にあったまれるね

夜はプライベートで温泉に

具体的な例で何か文化の違いなどを感じたことってありますか?

timo:この間も、ゴミ収集車の音を聞いた海外の方が「アイスクリーム屋さんが来たの?」って(笑)日本ではかわいらしいメロディが流れるじゃないですか?同じ音でも文化が違えば意味も印象も変わるんだなと。そういう気付きをゲストさんと一緒に笑い合える時間がたまらないですね。

pm7:30
ドキドキ。ぽかぽか。温泉は私たちのカラダも心もあたためてくれるね。大切な時間。

別府には家族風呂が沢山ある

ゲストにその気付きをもらえるということは、ガイドする度により視野が広がって、その街を好きになるってことですよね。

timo:ガイドって教える仕事じゃなくて、むしろ学びをもらう仕事なんだと思います。いろんな人と出会って話しているうちに、 自分がその街をもっと好きになる。日本をもっと好きになる。ゲストの目線を通して見た別府は、私が知っている別府とはまったく違うんです。その違いがあるからこそ、街が立体的に見えてくる。一緒に歩きながら、互いに「気付き合う」感覚が楽しいんです。

pm8:30
温泉から出たら土砂降り!灯りに照らされた雨がとても気持ちよさそうで、思わず雨の中へ。笑いながら見守ってくれて、一緒にまた濡れて(笑)大きなタオルで包んでくれた。ありがとう。

実は撮影日の夜は災害級の大雨でした

本当にガイドが好きで、別府が好きなんですね。

timo:そういえば、思い出しました!印象的なゲストの話もう一つしてもいいですか?

もちろんです。

timo:今年の3月にも忘れられないゲストがいたんです。1999年に仕事で別府を訪れた方が、26年ぶりにまた別府来てくれたんです。当時の写真を持ってきていたので、同じ場所を一緒に巡りながら「現在の別府」を歩いたんですよ。ただの住宅街の角や坂道で「あの時ここで写真を撮った」と言いながら再現していくんです。まるで時間の中を旅行しているみたいでした。あ、もちろん私たちは時間の中で生きているから、そうなんですけど。なんて言えばいいですかね。その人の思い出の中を、一緒に散歩している感じというか。

その方は当時、鶴見岳を登った帰りにロープウェイに乗ったんですが、お金が足りなくて、スタッフの方が「いいですよ、乗ってください」と無償で乗せてくれたそうです。今回の旅でそのお礼に「当時の3人分の乗車代を払ってきました」と言っていました。25年越しの恩返しなんです。その話を聞いた時、本当に胸が熱くなりました。

pm9:00
お家時間。今日の話をシェアしながらゆっくり、ゆったりと。温かいハーブティーでも飲む?

別府の「spica」で購入したガラス雑貨

素敵すぎる話ですね。時間の二重露光みたいな瞬間ですね。

timo:写真って面白いですよね。記憶や想いが宿るっていうか。

人の想いは物に宿りますからね。

timo:神父さんがやってたプロジェクト(ヤングセンターステンドグラス補完計画)もそういうことですよね。別府はそういう想いの全部を優しく掬い上げてくれるような気がします。

pm9:30
見つめてもいい?笑わんでよ(笑)テレビはついてるけど誰も見てへんし、キッチンには淹れかけのハーブティーの匂いが残ってる。たまにはこんな瞬間もあっていいんちゃう?

いつも元気なtimoちゃんとは違う雰囲気で

同感です。最後にこれから別府を訪れる人たちに、どんなことを伝えたいですか?

timo:うーん、少し長くなってもいいですか?

どうぞ(笑)

timo:まずはとにかく気軽に来てほしいです。別府は“ウェルカム”の街ですから。遊びに来たら、ぜひ地元の人と話してみてください。銭湯で挨拶を交わしたり、お店でちょっと会話したり。それだけで旅の深さがまったく変わります。大切なのは「笑顔で挨拶」と「リスペクト」。

別府は国みたいな街なので、別府独自のルールがあります。温泉の淵に座っちゃだめとか、お湯の使い方や地域のマナー。それを尊重すれば、きっとみんな優しく迎えてくれます。まずは「ワンダーコンパス別府」に立ち寄ってほしいです。私たちが、あなたの旅の最初の案内人になります!

別府は一度来たら終わりの街じゃありません。短い滞在でも、きっとまた来たくなる。元々「湯治」の街だから、長く滞在するとより街の良さが分かります。私は「また訪れたくなる街、別府」この言葉を合言葉に活動していきたいですね。

最後に少しだけ内側の話をすると、別府の温泉を守るには本当にたくさんの労力がかかります。温泉や地獄めぐりだって、維持費や人件費は決して小さくない。だから、もっと料金を上げてもいいと思うんです。その代わり、市民割や県民割を設けて、地元の人たちが気軽に入れるようにすればいい。観光客にはしっかりお金を落としてもらい、地元の人は日常の延長で通う。そうやってバランスを取ることで、文化も経済も持続していくと思います。別府の魅力は観光地でありながら「地元の日常」が息づいていること。ジモセンはその代表ですし。地元の人が地元を誇りに思える街。それが理想です。だからこそ、市民が自分の街を再発見できる仕組みを作りたいです。市民割、地元限定デー、無料開放日などなど。そんな「きっかけ」があるだけで、別府はもっと面白くなると思います。

今年から神父さんと一緒にやっている別府の海を綺麗にする「BTT PROJECT」も継続していけるように補助とかしてもらえたらいいんですけど、そういう地元のコミュニティーが動きやすいような仕組みを作ってほしいですし、作りたいですね。

別府の人たちは、誰かを迎えるのが本当に上手なんです。油屋熊八さんの時代から、受け継がれてきたおもてなし。そのおもてなしの心を、今度は私たちが次の人たちへ受け継いでいく番です。旅人を迎え、また送り出す。その循環の中で、この街は生き続けるんだと思います。まだまだ話し足りませんけど、別府はそれくらい、語りたくなる街なんです。

pm10:00
夜ごはん。おなかペコペコ。別府には美味しいもんがいっぱい。この日は「Cafe & Bar Gallery UniON」の温泉たこ焼き。乾杯&またね。

Thank you for your hard work.
※以下、時系列にてサブカットをお楽しみください





MODEL PROFILE

名前:畑山知美(Tomomi Hatayama)
年齢:37歳
出身:神戸(生まれは京都)
職業:観光案内所勤務


CREDIT

タイトル:THE BEPPU JOURNEY
撮影日:2025年8月10日
写真撮影&インタビュー:東京神父

ツアー同行者:Vanessa M、Dorian Venault、藥師寺 祥、Ravintsarah

撮撮影協力:別府市、別府市温泉課、湯山の里温泉、別府駅、北浜緑地帯、スパビーチ、ガスト別府店、山田別荘、WANDER COMPASS BEPPU(ワンダーコンパス別府)、マルショクやまなみ店、湯けむり展望台、LAWSON別府坊主地獄前店、Instant Sauna、湯の里、ひろみや、Tobirabo、筋湯通り、カフェ&ギャラリーアルテノイエ、竹製温泉冷却装置「湯雨竹」、谷の湯通り、別府大平山温泉おかたの湯、Cafe&bar Gallery UniON

スペシャルサンクス:恒松栖さん(湯山の里)、恒松孝子さん(湯山の里) 、GotoYusukeさん(Instant Sauna)、伴洸次郎さん(Instant Sauna)、梶原悠暉さん、羽田野真耶さん、坂井美保さん(ひろみや)、トビイルツさん(Tobi Labo)、山田るみさん(山田別荘)、ケンジさん(山田別荘)、吉田響くん、稲積京子さん、東美菜子さん



※温泉や個人の情報は全て撮影当時のものです。

ONSEN INFO

湯山の里温泉

大分県明礬にある自然の中の温泉。自然豊かな湯山地区で山菜採りをしていた際に偶然自然湧出の温泉を発見したのがきっかけで、温泉として利用されるように。明治時代には湯の花製造なども行っていた。オーナーの恒松さんが温泉施設として整備。温泉、蒸し湯、サウナ、滝、地獄蒸しを楽しめる施設は別府では現状ここだけ。



住所:大分県別府市湯山4組


営業時間: 9:00〜17:00(不定期)
※サウナ利用は別途お問い合わせください
※露天風呂をご利用の方は水着着用


入浴料金:大人:900円 / 子供:500円


泉質:単純泉 / 硫黄泉


地図:湯巡りマップ


公式HP:別府八湯温泉道サイト



BEPPU ONSEN ROUTE 88